抜けないリング~先生の薬指~

小さな破片



二年生になって初の掃除だからと言って、心が踊るなんてことはない。それは一班全員に当てはまる。

掃除の時間は既に習慣化していて、よっぽどサボリを繰り返している人でなければ大した新鮮味もない。



さて、では今のこの状況を何と言おうか。

掃除ロッカーに寄りかかる影。彼は白衣のポケットに手を入れて、掃除用の出席名簿を眺めている。真剣ではなく、暇つぶし程度。

その人影よりも何メートルか離れた地点で、げた箱の隅に隠れている私達。


彼が視聴覚室担当の先生であることは一目瞭然。言い換えると、サボリ監視人。
これでは、今日だけ、などとは言っていられないではないか。


担任は教室を担当する。副担任は私達のクラスが担当する掃除場所のどこかを担当する。

どうやら当たり、いや外れ。


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