抜けないリング~先生の薬指~
人数が集まれば掃除開始。分担はローテーション。順番は先生が考えていたらしい。
今日の私の分担は、視聴覚室を繋ぐ階段を箒掃き。いつもならかったるいと言わんばかりに放棄する仕事だ。
この階段は学年問わず利用されている。学校が招いた客人らしき人も度々目撃する。
元運動部という影響からか、こういう方を見ると挨拶せずには居られない。
箒を片手に繰り返し挨拶をした。
「…何部なの?」
人通りがだいぶ少なくなってから、背後でそう尋ねられた。
振り返れば白衣の先生が立っていて、不思議そうに私を見ている。
「弦楽部ですよ。」
答えると少しだけ首を捻った。どうやら私は運動部に見られる容姿をしているらしい。あながち嘘ではないが。