抜けないリング~先生の薬指~
「うちとかんちゃんはA組。これすごくね?運命感じちゃう?やっぱ愛の力?」
「ああ、出席番号順ね。」
サラリとかわして一人で納得。A組となると教室は確かここ。いちいち移動せずに済むから楽。
「羽賀センセだといいね。」
伊奈が満面の笑みを浮かべる。いつもなら大抵裏があるのだが、どうやら今回は本心からの笑みのようだ。
確かにあの先生ならいいな、と思う私が居る。授業が楽しくなりそう。
それにあの先生なら私の数学嫌いを少しは緩和出来る才能がある。
なんて、まだわからない。
会話を膨らます才能と勉学を人に教える才能は全く関係ない。
授業開始一分前。
扉を開ける人物に皆が皆期待していた。
羽賀先生ならいいなー、
そんな声が教室の隅から聞こえた。