抜けないリング~先生の薬指~
羽賀先生なら、いいな。
胸の内で呟いてみる。
でも私が言うと似合わない台詞。
何故似合わないのだろう?
わからない。けど、似合わない。
真新しい、まだ一度も開いていない数学の教科書を広げてみた。目を通してもさっぱり。
続いて机の中からこれまた新品のノートを取り出した。
教科ごとにある色のイメージがある。
国語は赤。数学は青。科学は緑。社会は橙といったところ。
英語ばかりは個人のイメージが反映されて、私は紫のノートを購入した。
今回の数学は例に漏れず表紙が青いノート。一年の頃はこのノートを開く度に顔まで真っ青になったっけ。
大好きなアップルティーをストローで音を立てて吸い上げながら、ネームペンでノートに名前を書こうとした。