抜けないリング~先生の薬指~



二十名の名前を読み上げた彼はプリントの山の横に名簿を置き、私達を真正面から見つめた。


「えー、この間紹介しましたが、このクラスの数学を担当する羽賀です。三組の副担任もやってます。女子高は初めてなんでよろしくお願いしまーす。なにか質問あったらどうぞ。」


声、大きい。
というよりか、よく響く声質。


小さな拍手と共にこの時間を待ちに待った生徒の声で埋め尽くされる。


「先生、いくつ?」

「今年で27になるよ。おっさんだ、おっさん。」

「じゃあ、先生、彼女居るんですかー?」

いきなり核心を突く。女子高ならではの質問。


「彼女というか…もう結婚してるからなー。」

「え、嘘?奥さんいくつ?」

「そうだな…四つ下かな。」

「若くない?!」


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