抜けないリング~先生の薬指~
からかわれても嫌な気はしない。
からかっているときの彼は本当に楽しそうだから。
羽賀先生はよく笑う。笑うことに生きがいを感じてるのではないか、と疑いたくなるほど笑う。
その笑いは子供のように無邪気。
純粋という二字熟語が彼ほど当てはまる人物を、未だかつて見たことがない。
以上のことはここ何週間で知ったこと。
つまり、ここ何週間かは目立ったこともなく、淡々となんら変わりない女子高ライフを過ごしていたのである。
そのなんの変哲もない生活がいつまでも続くのかな、と思っていた。
しかし、私の平穏な世界に大震災が訪れるのである。
それは、来る5月の、GW明けの登校日のことだった。