抜けないリング~先生の薬指~
あくまで羽賀先生の教える数学が分かりやすいから面白いのであって、数学そのものに愛着が湧いたわけではない。
だからテストの点数が劇的に上がるなんてことは、今の時点では有り得ない。
そもそも一年時の数学のテストは×印まみれ。理数的センスは皆無。
「カンノ、数学苦手なんだな?」
「はい。苦手意識が強いです。あまり好きじゃなかったんです。」
「そうか……問題諦めて解答用紙にコ●助書くほど嫌いかー?」
「最近は嫌いじゃ…って、え?!」
16点と大きく書かれた数字。×印だらけの答案。
そして、テストの端のコロ●。
何故かこういうテスト時の落書きに限って上手に書けてしまう。消すに消せなくなって自分の落書きセンスに酔いしれていたのだが。