抜けないリング~先生の薬指~


「あまりに上手なんで三点プラスしといた。」


要は私の得点は13点だったのか。
いやいや、私、痛恨のミスを犯してしまった。

よく見ると吹き出しまで付いている。『わからないナリよ』などと書かなくても答案見れば馬鹿でもわかるのに。


自分、正真正銘の阿呆だ。



「分からなかったらいつでも聞いていいから。」


優しいな、先生。
こんなどうしようもない馬鹿の相手に真剣に向き合ってくれて。


「あ、それと今日は教室掃除見るから、視聴覚室行けないんだよ。だからテキトーにやっといてほしい。」


先生は次の生徒に解答を配りながら、私の方を向いてそう付け足した。




先生がいない視聴覚室掃除。
そういえば初めてだった。


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