抜けないリング~先生の薬指~


仕方なく、こちらも遠慮がちに首を横に振った。

教師なんて呼ばれても。
病気だなんだで形だけの心配をされて、それから何日もうるさくなるだけ。

優等生ちゃん、あまり彼等を信じない方がいいよ。いざとなったら生徒を見殺しにする連中だ。

「嫌いじゃないけど。」

そう、嫌いではない。
信用出来ないだけ。信頼したくないだけ。

私の雑念をかき消すかのように、周りは賑わいだして、気が付いたら式が終わっていた。

始業式なんて面倒なだけ。
さて、教室に向かうことにしよう。

ふと後ろを見ると、優等生は私の独り言に首を傾げていた。
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