抜けないリング~先生の薬指~

「カンノだってぇ。」

「羽賀ちゃんったら、カンノだってさぁ。」


女の子達が甲高い声で騒ぎ立てる。
この空気、雰囲気、苦手。
先生はどこか楽しそう。

私はモップをゴミが落ちないように滑らせて、掃除ロッカーへと持って行った。
要は逃げたかったのである。



「名前の由来を聞いてから、カンノはカンノになったんだよ。」


だから、足が止まった。
先生の発言によって。


「知ってるんですか?」

思わず口を挟んでしまった。
でもこのくらいは許してほしい。



「ああ、カンノの生命はご両親が神様に祈ったから誕生した。神様からの贈り物。神ノ贈り物。だからカンノ。だろ?」


スラスラと、何かを暗唱するかのように先生は言った。

周りに居た女子が驚いた顔をしている。
でも誰よりも驚いたのは私。


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