抜けないリング~先生の薬指~


「今から二年三組の出席を取ります。では、さっそく、相田美空。」

はい、と女の子らしい凛とした声が教室に響く。

担任は古典担当の丹波先生。明るくさっぱりした性格で、怒ると怖いが、担任として評判の良い先生だ。

女子高の先生は割とさっぱりした人が多い。生徒もそれに当てはまる。その方が断然生きやすい社会形態なのだろうか。

「相原神乃。」

相田、相原。今年は二番目。一番目は免れた。

とりあえず短く、小さく返事を返しておこう。

消え入るような声でハ行の応答をしておいた。


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