抜けないリング~先生の薬指~
というわけで、迎えた水無月こと六月。梅雨が幕開け、衣替えとなった身には少々肌寒い日が続いている。
この時期には大したイベントもなく、敢えて言うなら部活のコンクール優勝のために励む日々を送っていた。
駆け足のように過ぎていく日々。
あれから何ら発展しない、羽賀先生との関係。
白衣を見かけては慌てて身を隠し、生徒に囲まれる先生を親指をくわえて眺めている。
私もあんな風に積極的になれたらな。
学級委員に立候補したときの自分は、もうここにはいない。
数学の授業も他の子と先生との会話を聞いていることが多かった。