抜けないリング~先生の薬指~
加速の始まり
イベントレスとでも呼べるこの月に舞い降りた知らせ。それは後に私と羽賀先生を繋ぐ手段を教えてくれる。
その知らせは勿論羽賀先生が提供したもの。
「中間テストも近いのでクラス分けをすることになった。」
今回は生徒の希望に添うらしい。
来週の数学の授業までに決めてほしい、と穏やかな口調でかの人物は言った。
先生、どこの担当なんだろう。
私は数学が苦手だし嫌い。そもそも数学を使う国立大の入試は考えていなかった。
進路の上で悩む必要などないはずだが。
ああ、私も女々しくなってしまったみたいだ。