抜けないリング~先生の薬指~


「えっと、次は…」

ほらね。気にしてない。

それにしても新しいクラスは緊張する。
知らない人ばかりで視線が気になる。

深呼吸、深呼吸。
少しだけ速まる心臓にたくさんの酸素を導入しよう。


「宇伽伊奈。」


次の子の番になったので、顔を確認するために振り返ってみる。

黒いロングヘアに一重瞼の一見大人しそうな女の子。
その返事もどこか控え目なのだが。

「おっす、かんちゃん!!また一年よろしこっ」

何かの封印が解けたかのように、突然嬉々として話し掛けたこの少女。

部活仲間の宇伽伊奈<ウトギ イナ>。


< 7 / 74 >

この作品をシェア

pagetop