抜けないリング~先生の薬指~
「えっと、次は…」
ほらね。気にしてない。
それにしても新しいクラスは緊張する。
知らない人ばかりで視線が気になる。
深呼吸、深呼吸。
少しだけ速まる心臓にたくさんの酸素を導入しよう。
「宇伽伊奈。」
次の子の番になったので、顔を確認するために振り返ってみる。
黒いロングヘアに一重瞼の一見大人しそうな女の子。
その返事もどこか控え目なのだが。
「おっす、かんちゃん!!また一年よろしこっ」
何かの封印が解けたかのように、突然嬉々として話し掛けたこの少女。
部活仲間の宇伽伊奈<ウトギ イナ>。