抜けないリング~先生の薬指~
私も理系の人間なら良かったな。
がはは、と女性らしいとは到底思えない豪快に笑う伊奈を見ると、クラス分けで悩む自分が馬鹿みたいに思える。
普段なら真っ先にCクラスを選ぶだろう。だって数学だから。羽賀先生が教えてる科目、と贔屓目で見ても数学は数学。
「私、どうしよっかな…」
「珍しいね。でも期日まで時間あるし、羽賀っちにも相談したらー?」
羽賀っち。
いつの間にそんな愛称を。いや、すぐ変わるな。
私のかんちゃんというあだ名が定着した方が不思議。そのくらい伊奈はころころあだ名を変える。
その前にクラス分け。
相談なんて下心丸見えではないか。少々不安ではある。
今思い返せば、この時相談した自分を誉めてやりたいが。