抜けないリング~先生の薬指~



さて、どうやって相談話を持ち掛けたか。それは至ってシンプルな話。



週末の数学の授業で羽賀先生に話をする。この時告白する前の女子の気持ちがほんの少しだけ理解できた。


先生は快く承諾した。放課後なら時間あるな、と先生が呟き、確か今日の部活は休みだったことを思い出す。

こうして英会話教室という二階の教室に放課後集合という面会の約束まで漕ぎ着けたのである。


伊奈が後ろで、なになに逢い引き?いやん、だとか何か言っていたのはこの際無視して。




今日は時が過ぎるのが早くて早くて。丹波先生の古文を読む声も、休み時間の伊奈との会話も、瞬く間に過ぎていった。

その度に緊張は増して、羽賀先生に会うまであと三、二、一時間とカウントダウンする自分を恥ずかしく思えた。



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