【幼なじみの恋愛事情】
俺は、家政婦さんに案内されて優馬のいる部屋に入った。

「来た、噂の少年」

優馬は、俺を指さしながら笑ってる。

「何だよ、噂の少年って」

「だってよ、お前森本のこと許したんだろ?美里と付き合うの」

その話だとは、薄々感じていたがまさかいきなりくるとは調子狂うな。

「別に、認めてはない。ただ、みーを1回でも泣かしたら俺の所に返してもらうって言っただけ」

「「かっけー」」

「3人で、口をそろえなくてもいいだろ」

俺は、家政婦さんがくれたアイスコーヒーを飲んだ。

「だからさ、それって宣戦布告だし」

浩史は、冷静に判断していた。

「けどよ、美里は森本の過去知ってるわけ?」

「多分な。あの日呼び出したのも、過去を話すためだと思う。けど……みーは、過去を気にする奴じゃない。今を生きる奴なんだ。過去よりも今を考える奴だから、付き合うことにしたんだと思う」

アイツは、昔からそうだった。

テニスで失敗しても、過去ととらえて前向きに考えている。

そういう考え方に昔から……憧れてたんだ、俺は。

「そういう風に見えるもんな……けど、あいつらは長くは続かないと思う」

「なんで?」

春馬の一言にここにいる全員が、疑問を抱いた。

「なんかさ、森本は美里が本当に好きなんだと思う。けど、美里はそうじゃないと思う。多分、翔のこと諦めて森本を好きになろうとして、好きになったと思う」

「意味がわからねー」

優馬は、ぶつくさつぶやいた。

「だから、まだ美里は翔のことをただの【幼なじみ】として見てないと思う。まだ、翔に未練があるけど、翔はみんなの憧れの的だから…自分とは釣り合わないと思ってるんじゃないのかな……」

春馬の話を聞いていると、考えられなくはない。

けど、あんなに楽しそうに森本の話をするみーは、俺のこと【幼なじみ】としか見てないとしか思えない。

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