【幼なじみの恋愛事情】
「ごめんね!!」

私は、息を大きく吸いながら言った。

「大丈夫だよ。渡辺くん、生きてた?」

「うん……」

「「あのさ……」」

二人の声が重なった。

「先にどうぞ」

「うん……」

私は、大きく深呼吸をし自分の本当の気持ちをまーくんに伝えた。

「私ね、気づいたの。

私が本当に好きな人は、翔なんだって。

まーくんも好きだった。

でも、翔とまーくんとでは気持の重さが違った。

翔は、ずっと一緒にいてそんな気持ち全く分からなかった。

けど、今日あんなことあって気づいたんだ。

私には、翔が必要なんだって。

翔じゃなきゃダメなんだって。

だから、ごめんね。

今までさ、ずっと一緒にいたのに……」

まーくんは、なぜか安心したように笑った。

「気づくの遅いよ?」

「えっ?」

「僕、最初から気づいてたよ。美里は、渡辺くんが好きなんだって。でも、美里のこと好きだから。渡辺くんの所に連れて行きたくなかった。だから、美里に告白したんだ。けど、今日改めて気づいた。

美里は、渡辺くんが本当に好きなんだって。

美里にとって、渡辺くんは本当に大切な人なんだって」

知ってたんだ。

気づいてないのは、私だけなのかもしれない。

「今までありがとう。これからは、友達として仲良くしてね。渡辺くんとお幸せに」

まーくんは、微笑んで私に背を向け歩き出した。

あのまーくんの笑顔は、一生忘れない。

私も背を向け歩き出した。

翔のいる方向へ。

< 147 / 150 >

この作品をシェア

pagetop