【幼なじみの恋愛事情】
幼なじみという名の肩書き
★美里side
時が過ぎれば、もう中間テストの時期。
テストが終われば、文化祭。
文化祭が終わってひと段落したらまたテスト。
進学校ならではの流れである。
「ああ~もう、わかんない!!」
そう隣で、唸っているのはもちろん真優。
「どこがわかんないの?これ、中学のレベルだし、つか小学生以下」
そう突っ込んでいるのは、やはり加奈子。
今は、英語の完了形の文法というきわめて簡単な分野。
どうして分からないのかが、わからない。
「だって、なんでhaveが持つっていう意味じゃないの?」
「そんなの決まってるじゃない、have+過去分詞が完了形。私、小学生の時理解したんだけど」
どんだけ、頭いいわけ!?
心の中で叫んでいた。
私は、二人の会話を耳に傾けながら自分の勉強を進めた。
得意分野は、英語。
苦手分野は、数学。
私は、典型的な文系派。
翔は、私の逆。
だから、お互いわからないところを教え合っていた。
まあ、翔のおかげでこの高校に入れたのかもしれないけど。
「ねえ、美里?ここのさ、英文訳してくれない?マジ、理解不能。何で、私特進なんだろ」
美鈴が、珍しく嘆いていた。
「これは…ここにいるすべての人たちが、あなたのことを理解しそしてあなたのことを思っていることと思います。そして、あなたがもし何か悩みがあったら、それをその仲間に打ち明けることができるのでは、ないでしょうか…だと思うよ」
なんで、高1の教科書にこんな道徳的な文章が書かれているのだろう。
でも、その気持ちはわかる気がする。
私は、翔のことを理解しそして翔のことをしっかり考えている。
そして、悩みがあったらすぐに翔に相談する。
小さい時からそうだった。
私は―――――