【幼なじみの恋愛事情】
そのあともみーは、俺の本当の気持ちなんて知らないで楽しそうに森本との話をしてきた。

「森本くんの家ってね、剣道一家なんだって♪なんか、かっこいいよね」

「そうだな」

みーは、本当に森本のことが好きなんだ。

俺から見てもかっこいいと思える人をかっこいいと言わない奴なのに。

なのに、なんであんな美系な奴なんだ?

本当に実らない恋ってこういうものなんだろうな。

少女マンガの主人公にでもなった気分だ。

なんだか、心が痛む。

「ねえ、翔って好きな人とかいないの?」

「え?」

思いがけない質問を受けてしまった。

答えるに答えられない。

「その反応は、いるんだ!!誰?」

みーは、目をウルウルさせながら俺の顔を見た。

そうとう気になるみたいだ。

「言えるわけないじゃん」

俺は、みーのおでこにでこピンをした。

「痛っ!!みんなに言っちゃうもーん♪翔には、好きな人がいるって」

みーは、頬を膨らませながら言った。

「そういうお前は、どうなんだよ」

あっ言ってしまった。

聞かないでおこうと思っていたのだが。


「うーん、いるよ♪」


笑顔で答えるみーの顔が今日だけものすごく嫌な顔に見えた。
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