【幼なじみの恋愛事情】
残り1分の試合となった。

森本くんのチームが追い上げて今は、翔のチームと一点差。

さっきまで騒いでた女子たちが静かになり、今は体育館に響くボールのつく音と足音しか聞こえなかった。

残り30秒。

森本くんが翔からボールを奪い自分たちのゴールに攻める。

後15秒。

……―――――――

後10秒


……―――――――

――――――シュッ

――――――ピーピーッピー

森本くんは、見事シュートを決めて試合が終了した。

ブザー・ビートという奴なのか。

結局、試合は引き分けとなったが森本くんがものすごくかっこよく見えた。

いつもは、ほほ笑んでばかりで武道が似合う人だった。

でも、今日はなんだかバスケが似合っていた。

というよりも、ものすごくイメージが変わった気がする。

タオルで汗を拭く森本くんと目が合った。

森本くんは、ほほ笑んだ。

私もほほ笑んだ。

そのとき、私たちの姿を誰かが見てるなんて気付かなかった。

気づくはずがなかった。

だって、もう私は……

森本くんを本当に好きになってしまったんだ。

あんなにがんばる森本くんを見ると胸がドキドキする。

翔は【幼なじみ】

やっと、自分で認めることができた。

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