【幼なじみの恋愛事情】
過去
★美里side
――――ミーン、ミーン
蝉の声が教室に響き渡る。
「暑い…暑すぎる~」
優馬は、教室のど真ん中で叫んだ。
「ホント、熱すぎるよ。クーラ壊れてるとかありえないからね」
真穂は、下敷きで扇ぎながらしゃべった。
翔はというと、相変わらず寝ている。
夏になると、翔は寝るという習慣が小さい時からある。
だから、夏に翔との思い出を作ろうと考えるのは難しい。
朝から晩までトイレとご飯以外は寝てるし、宿題は夏休み前に全部終わらせてしまうのだ。
要領がいいやつだ。
「ねえ、夏休みさみんなでどっか行こうよ」
美鈴は、雑誌を見ながら言ってきた。
「そうだな…夏だったら、海じゃね?」
「嫌、焼ける」
加奈子は、夏休みの課題をやりながらボソッとつぶやいた。
「じゃあ、花火」
「いいね、それやろう」
そんな感じで花火をやることが決まった。