シャウト!!!

赤毛






「おっはよ−、ユメ!」

という言葉とともに、思いっきり頭をぶたれた。



「ったぁ−。莉央、あんたねえ。」

「寝ぼけてるみたいだから起こしたげたの−。」


矢崎 莉央(ヤザキリオ)。
高校に入学して一番に仲良くなって以来いつも一緒にいる。

「あ−、はいはい。ありがとう。」



「いいのよ、お礼なんて。」

そう言って微笑むと、巻いた栗色の髪の毛の間からピアスが光る。
一見チャラいけど、実は頭がよくて、帰国子女だとかなんとかで英語がペラペラの優等生。




「それより昨日また呼び出されたじゃん。進路希望調査でしょ? あんなのサクッと適当に書けばい−のに。何度も呼び出されんの、だるくない?」



「そ−ですね−。」


忘れかけてた、いや忘れようとしてた事に触れられ、あからさまに不機嫌になってみせる。




莉央には 通訳になるってゆう、立派な夢がある。

だけど私には何もない。





一限目の始まりを知らせるチャイムが鳴り、最近癖と化した溜め息をつき席につく。



< 5 / 9 >

この作品をシェア

pagetop