気づいてよ
「うーん。前髪をあげたほうが可愛いわよ。」



そういって、真美さんは手際よく私の髪型を変えた。


「もう少し切るわね。あと、ここにピンをつけて…。よし。軽くこれをつけましょう。」


目の前に出されたのは綺麗なスプレー。




しゅー


という音と共に、先ほどの甘い香りがした。




「うん。これでいいわね。次はメイクを軽くしましょう。」


まるで美容師のようだ。


真美さんってすごい…。




「よし。これでいけるわ。次は、服よ。」


クローゼットのようなものの中には、綺麗系やカワイイ系、ほかにも小悪魔系など、たくさんの服がはいっていた。



「あなたはこれがいいかしら?」


取り出したのはカワイイ系のピンクとしろのリボンがついた服。



「かわいー!」


私も思わず声がでた。


こんなに可愛い服をこれから着るの?



「じゃあ、あそこで着替えてきて。」


差された場所に入ると、その服をきた。


「鏡ないんだ。」


てっきりあるのかと思った。




「はい。」



外にでると、大きな鏡に可愛い子が映っていた。



「これ…私?」



「そうよ。可愛いでしょ?」



そこには凄く可愛い私がいた。

ケバい感じもしなく、まるですっぴんみたいだ。



「あと、この事は秘密ね!」



そういって真美さんは片付けをし、バイバイと手をふり帰っていった。




「よし。頑張ろう。」





耳元で静かに言われた言葉。




「あなたにはあなたの魅力があるわ。あなたの魅力なら、きっといけるわよ。」


そうだ。私にも私の魅力があるんだ。

顔じゃない…。大切なは気持ちなんだ。




「ぜったいふりむかせる!」



そういって、私は静かに保健室をあとにした。
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