思い出に変わる時・・・・
授業のチャイムは2人とも全く聞こえなかった。


「菜緒...」


「分かった。」


泣いて叫んで嫌だと言いたかった。


でも嫌だという程の自信もなければ、祐の気持ちも分かってしまった。


変なとこだけ賢い。


私は涙をこらえて祐を残したまま教室に戻った。


別れてと言われた訳ではないのに、私の脳は別れて...と処理してしまった。


待っててなんて...  難しい事私にはできない。


好きなら一緒にいたいし、一緒にいられないなら好きでいても仕方がない。



帰る時間...


藤田よりも先に終わってしまった。


待つって何...?


どうしてたらいいの?


早足で校門から出た。


避ける事しか私にはできない。


会えば一緒にいたくなるから...


祐と話したその時から、脳みそがおかしくなったのか一度も涙が出ない。


脳内モルヒネが、悲しさのあまり感情を抑え込んでしまったみたい・・・


悲しいのかどうかも分からなくなった。


「菜緒!」


何日か経って、もちろん学校中に噂は広まった。


米さんの耳にも入ったらしい...


急いで帰る私を追いかけて来た。


「お前らどうなってんの?! 」


「...分かんない 」


「祐に聞いて...」


米さんは、あきれた顔で私を見る、




< 61 / 138 >

この作品をシェア

pagetop