思い出に変わる時・・・・
ヒロは私の邪魔にならないように・・・


多分そう思ってるんだろうと思う。


当たらず触らず・・・って感じ。


それもまた妙に気を遣われて居心地が悪い。



ある日 1年の女の子が私の目の前に現れた。


「菜緒さん・・・ヒロの事本当に好きですか? 」


女の子は真っ直ぐな目で私を見つめた。


「・・・・。」


「何で? 」


「菜緒さんとヒロは付き合ってるんですよね?! 」


「・・・・。」


「でも藤田さんの時と菜緒さん全然違うから・・・」


「・・・・。」


「ヒロの事が本当に好きじゃないなら別れてくれませんか=3 」


「私はヒロの事が本当に好きです! 」


「・・・・。」


私は何も答えられなかった。


久々に聞いた藤田の名前・・・


皆、タブーのように私の前では、その名前を出さないのに・・・


ヒロが前から慌てて走ってくるのが見えた。


「お前! 菜緒さんに何か言ったのか?! 」


「だって=3 」


「菜緒さんゴメン=3 」


ヒロはそう言って女の子を引っ張って行った。


『あんなに真っ直ぐに好きって言えたら・・・』


私はヒロを待たずに1人で帰った。


『別れるも何も・・・』



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