僕とみつばち
はじまり
性格なんて、あとから付いてくるものだ。
「冷めてんな。相変わらず。」
タバコに火を点けながら、タクヤが言う。
「そんなことないよ。」
タバコの煙を嫌がってそっぽをむいた。
「だってさぁ、あんなに、ホラ。」
僕の向かいに座るこの子。ミナちゃん。
さっきからせっせと取り皿に料理を取り分けてくれるのを、目の端でちらと見る。
一生懸命なのは分かるんだけど、ぽやーんとした彼女にはどうも魅力を感じない。
このタイプの子はどちらかと言うとタクヤの好みの筈だ。
「譲るよ。」
「お、サイテー。」
合コンはチームプレイであって、人生はギブアンドテイクだ。
何となく腑に落ちない様子のタクヤだったが。
「合理的に生きてるから。」
「言うねぇ。」
僕だって男だ。
女の子に好意を持たれて嫌な気はしない。
しかし、好みというものがある。
僕はどちらかと言うと、ふわふわの綿菓子のような子は苦手だ。