僕とみつばち
事務仕事をしていると言っていたが、どこに勤めているのか、どの時間帯で働いているのか。全く見えて来なかった。
メールの返信の時間帯もまちまちで、どうも人並みに拘束され、就労している人ではないような気がしていた。
回りくどいやり方は好きではなかったが、これはハルカに聞かずにはいられなかった。
金曜の夜。
ハルカはすぐに電話に出た。
「ちょっとー!久しぶり!何やってたのアンタ!」
「何って、何もしてなかったけど。」
「少しも捕まんないんだもん。」
「ちょっと前に呑んだだろ。」
「え!もう二ヶ月以上前だし。」
「そうだっけ。」
「怪しい。…女だな。」
「そんなことは…なくないけど。」
「ふーん、誰?あ、ユカって子だ。」
話したな。タクヤの奴…。
「いや、大分前に終わってるよ。」
「あ、そう。それはごめん。で、誰。」
「あの…あの子だ。」
「え?」
「ナツミ。」
「ナツミ?」
「うん。」
「あ、そうなんだ。」
ハルカは驚く様子も無く、――極めて冷静だった。
「もっと驚くと思った?」
「うーん…、ハルカにしては騒がないなとは思ったけど。」
「珍しくあんたが熱心に話し掛けてるなって思ってさ。」