僕とみつばち



僕の好きな女性シンガーの、甘い歌声が車内を包んでいる。



見渡す限りの星空に、そっとナツミに目をやると、子どものように目をキラキラとさせて、夢中で星を見ていた。



「車、降りてみる?」
「うん。」



二人で車外に出ると、ふわりと青草の馨がした。



「夏の匂いがするね。」



ナツミはそう言って、深く息を吸った。



「もう夏が来るね。…ナツミは夏に生まれたの?」
「違うよ。4月生まれ。なのにナツミ。変でしょ。」



ナツミはふふ、と笑った。



「何か理由があるんじゃないかな?」
「うん……、どうかな。家の親変わってるから。」
「そうなんだ?」
「うん。お兄ちゃんは男なのに、ひとみって言うし。」
「個性的でいいんじゃないかな。僕、ちょっと太郎は嫌だったよ。」
「わたしはいい名前だと思うな。タローによく似合ってる。」
「む、個性がないって事だろ。」
「はは。タローは兄弟いるの?」



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