僕とみつばち
僕は、愛されない子どもでも、また過度に期待をされる息苦しい子どもでもなかった。
僕達は、どこにでも在るような、ごくありふれた家族だった。
銀行員で、ワーカーホリック気味の真面目な父。
少し世間知らずだけど、優しくてよく笑う専業主婦の母。
サッカーばかりしていたはずなのに、成績が良く、そのくせどこか奔放な兄。
それと、妹。
…正しくは、妹が『いた』。
五つも年下で、僕の後ろをついて回る、可愛らしい妹、サクラ。
男兄弟しかいなかった僕の家に、それこそパッと咲いた桜の様な、美しい子どもだった。
母に似て色が白く、髪の毛の色素が薄く、儚い印象を受けた。