僕とみつばち



桜が散った眩し過ぎる季節を、僕達家族はもがいて、苦しんで、乗り越えられないまま。





「ナツミは、お兄さんと仲良いの?」
「いつまでも子ども扱いされるけどね。世話好きな人だから。」



ナツミは少し、照れ臭いような、すねた様な表情をした。この子は年齢よりは年上に見えると思っていたが、こうして見ると、実はすごく幼くも見えるじゃないか。



初対面では、年下だと言うことに多少驚いたものだった気がする。



落ち着いている、と言えば月並みになるが、どうもナツミのまとう雰囲気が、二十歳そこそこの女の子ではないように感じる。



僕と言えば、三十代を目前、立派な二十代後半だというのに…どちらかと言うと童顔で、まだまだ新規の客には新卒に間違われる事もあるくらいだ。



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