僕とみつばち
先の見えないトンネルとは、進むというより、堕ちていく感覚に近い。
このまま。人知れずワカコと二人、どこまでも堕ちていこうか。
昼は働き、夜はワカコと逢瀬を重ねる。
僕にはそれが全てで、ワカコにもそれが全てであったように思う。
しかし、男女の愛の何と儚いものか。
いっぱしに愛を囁き続けてきたつもりだったが、金属バットでカキーンとかっ飛ばされたような出来事が、僕たちの関係を消し去った。
ホテルで十分に愛を確かめあった後に聞くべき話ではなかったのだ。
僕はこの夜を忘れないだろう。
「あのね、タローちゃん。話があるの。」
「うん?何。」
情事の後の気怠い雰囲気がなんとも色っぽい。会うたびに、ますます綺麗になるのは、僕のひいき目ではないと思う。
「私、何だか変わったような気がしない?」
「えー、なんだろう?」
「あのね。」