僕とみつばち



畜生。
柔らかに微笑む唇は、子をあやす唄を歌うのだ。
形の良い乳房は、子を育む命の源になるのだ。



男女の愛など。



子への愛を前にして、何と馬鹿らしいものか。



この女は、母になったのだ。



血が上る頭で、ワカコの腹が膨らんでいく姿と、隣で微笑む見知らぬ男を想像して、余計に眩暈がした。



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