僕とみつばち



文句の一つでも言ってやれば良かったのかもしれない。



どんなつもりで僕と逢っていたのか。



しかし僕はそれをしなかった。惨めになりたくなかったのもあるが。



何より、僕は彼女が好きだったのだ。



大切で愛おしくて、愚かな僕の全てだった。



彼女に静かに別れを告げた後、情けない事に、車で一人、泣いてしまったのを憶えている。



これはタクヤには秘密だ。



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