僕とみつばち



その後の僕は、自分でも驚くくらいに働いた。
以前なら断っていた上司との酒の席にも参加するようになり、縦のつながりを大切にするのは出世にもつながるという兄の言葉を痛感したのだった。



また、しばらくしてワカコの事を冷静に振り返ったりもしたのだが、裏切りや、ワカコの旦那への嫉妬、そんな事で腹が立ったのではなく、ただ、お腹にある新しい命をもっと大切にして欲しかった。
命を宿して尚、僕と関係を持っていた事が許せなかったのだと、改めて思ったのだ。



そう思えた気持ちを持っていたことにホッとして、ワカコへの気持ちにケリをつけた。



< 53 / 55 >

この作品をシェア

pagetop