僕とみつばち
僕は目の前で丁寧にホッケの開きをほぐし、ハルカの皿に運ぶ、彼女を見ていた。
笑みこそするものの、人見知りをしているのか、自らは話題に入ってこない。
「ねぇ、なんの仕事してるの?」
「…事務。」
「へぇ、デスクワークだ。いくつ?」
「22。」
あ、年下だ。
「ね、もしかしてさ、人見知り?」
「…うん、すごく。」
そう言ってまたホッケをほぐし始めた。
ハルカが気を利かせて、先程自己紹介を促してくれなければ、その名前も聞き逃してしまいそうな程だった。
「ナツミ。」
少し低めの落ち着いた声だった。
人見知り、と言っていたが、それとはまた違うんじゃないかと思う。