彼 岸 花



「違う、違う。私の名前が知里。」


そういって俺に手を差し伸べる知里という子。

俺はその手につかまり、ようやく立った。



「知里ちゃーん。知里ちゃーん。」

遠くで誰かが、この子を呼んでいる声が聞こえた。


「コッチ、コッチー。」


知里の声で、気づいたのかガサガサとしげみから現れた女の子。


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