彼 岸 花



「…っ。」

その女性にはまだ意識があったのか、真っ赤に染まる震えた手で千影の足を掴んだ。



俺は、そんな光景をただ見ているしかなかった。


「汚い手で、触るな。」

そう言って、女の手を足で蹴ったのは知里だった。



千影と同じ様な瞳をさせていて、俺の背筋はゾクッとした。



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