彼 岸 花



「行こ、先生。」
固まっていた俺の手を菜草がひっぱる。


「…えっ…あっ…あぁ。」

菜草に手をひかれ、男性の左を横切る。


横切る間、俺は女性をずっと見つめた。

うつ向いて見えない顔。全身が真っ赤な血で…。


女性はゆっくり顔を上げた。
血に染まる顔。


そして、女性と目が合った。



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