かっこう
「真弓から話は聞いてました。貴衣子さんですよね」

ユカの声を聞いて、きいちゃんは更に驚いていた。
じろじろとユカの長い足や色白の肌を眺めている。

「バイト先で会った友達なの。ユカって言うの」

私は慌てて、その場の空気を取り繕うように言った。

きいちゃんは欅の木の緑が一番好きだと言っていた。
あれは高校生のときだったと思う。

私たち三人は、欅の木の下に作られたサークルベンチに腰を降ろした。

私の左にユカ、右にはきいちゃんが座っていて、近くの自販機で買った缶のコーラをぷしっ、と空けた。
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