かっこう

気付くと夕暮れだった。

すっかり汗ばんでぺっとり背中に張り付いたタンクトップを不快に思いながら、私は窓の外を見つめた。

ぼんやりと、昼に素麺を食べた後すぐ眠くなったので寝てしまい、起きたら夕方になっていたのだと、振り返って思う。

夕刻を告げる街の放送が遠くで聞こえる。

私は何の前触れもなく、きいちゃんのことを夢中で考えてしまうことが、たまにある。

そういうときは必ず、皿洗いのバイトをしていようと、犬の散歩をしていようと、頭の中はきいちゃんで一杯になってしまう。
< 2 / 26 >

この作品をシェア

pagetop