かっこう
私は胸がどきどきしてくるのを感じた。

きいちゃんは怒っているのだろうか。

「康子さん」

もう一度きいちゃんは言った。
冷たい、物怖じしない声だ。

「私、本当のお母さんに会いに行きます」

それから私はすぐその部屋を離れた。
豆乳のパックを落としそうになりながら早足で自分の部屋に向かい、中に入るとそのままベッドに突っ伏した。

いつかはこうなると思っていたのだ。
認めたくはなかったのだけれど。

自分の鼓動が直に耳に響く。

きいちゃんは一体どうするつもりなのだろう。
ママは何を知っているのだろう。
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