かっこう
わからない。

私は無意識のうちに赤いフォトフレームを手に取っていた。

真っ白い、まるでオモチャのような小さな家。

涙が頬を伝った。
帰りたいだけなのだ。
あの家に、あの頃に。

私はそのままベッドで鳴咽を漏らし続けた。




昔からきいちゃんと私の関係を、他の人に話すとき何と言えばいいのか、私はさんざん考えさせられた。

私の家には私が生まれる前…姉の菜弓が生まれた時はどうだったか知らないが…から父親はいなかった。

けれどきいちゃんもいたし、女四人、何の不都合もなく暮らしていた。
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