ずっと傍に…
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私は歳さんを力一杯に突き飛ばした。



「痛ぇな…」



歳さんが腰の辺りを擦っているのを見て罪悪感が生まれる。


でも、私はお構いなしに立ち上がって逃げるように部屋から出た。



――――――



(なんで俺が突き飛ばされてるんだ…)



歳三は沙知の行動の理由がわからなくて呆然としている。



「土方さんは、言葉が足りないんですよ」



くすくす笑いながら総司が部屋に顔を覗かせる。



「沙知さんは土方さんと自分の家族を比べようなんて思ってないんですよ」



総司は腰を下ろして、歳三に微笑みかける。


歳三は手で頭を掻きながら溜め息を零した。



「ただ、俺が家族になって欲しかっただけだ」



歳三の呟きのあと総司は立ち上がって襖の外側に顔を向けた。



「だそうですよ、沙知さん」



気まずそうな表情の沙知が顔を覗かせた。



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