ずっと傍に…
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夜明け前、私たちは生まれたままの姿で抱き締め合いながら布団の中にいた。



「ねぇ、歳さん…」



歳さんの胸に顔を埋めると、歳さんの鼓動が速くなる。


歳さんもドキドキしてることが嬉しい。



「なんだ…?」



歳さんはさっきからずっと私の髪を撫でていて。


時折くすぐったい。



「私が…ずっと傍にいるから……だから、死なないでください…」



未来がわかっていても、願ってしまう。


歳さんには戦死してほしくない。



「それは、無理…だ。近藤さんが地獄で待ってるからな…」



苦笑いした歳さんは私の髪を一房掬(すく)った。



「私は…一緒にいたい」



泣きそう。


泣き顔を見られたくなくて歳さんの胸に強く顔を埋めて。



「今は無理だけど……未来はわからないだろ?」



「どういう意味…?」



トクンと規則正しい歳さんの鼓動はすごく落ち着くなぁと実感する。



「俺は、散々人を斬ってきた。…だから無理かもしれねぇけど、お前の時代に生まれ変わりたい」



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