ずっと傍に…
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「ねぇ、歳さん…今夜は晴れると思いますか?」



俺は新選組副長・土方 歳三【ひじかた としぞう】。


ちなみに今は世に言う幕末真っ只中だ。


そうそう、さっき俺に話し掛けてきたのは許婚の沙知【さち】だ。


なんでも彼女は平成の世からタイムスリップと言うものをしてきたらしい。


まぁ今となってはどうでもいいことだ。



「歳さんってばっ、聞いてますか?」



袖をクイッと引っ張られ、そっちを見る。


拗ねたのか少し怒った表情の沙知と目が合った。



「聞いてたよ。今夜は晴れるんじゃないかな。…なにかあるのか?」



確か今日は七月七日だったはずだ…。



「今日は七月七日でしょ。七夕の日ですよ」



なんでも沙知が言うには…。


七夕ってのは年に一度、彦星と織り姫って二人が天の川を渡って逢える日らしい。



「それでね、竹に願い事を書いた短冊をかけるの」



無邪気に笑う沙知…本当に愛しいと思う。



「それで?」



なんとなく何を言いたいかわかってきたが、問い掛けてみる。



「だからね、その…短冊作りたいなぁ、って…」



沙知がモジモジしながら話す。


他の奴らには見せられねぇな姿だ。


そう思いながらゆるく束ねた髪を撫でてやる。



「沖田さんや近藤さんたちも、いい?」



まだ俺がいいとも言ってないが、本人の中では同意とみなされたようだ。


…まぁ、いいか。


どうせ沙知には勝てないしな。



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