分校物語 ~夏~
次の日の朝。
清貴が学校に出勤して職員室に入ってきた。

朝から蒸し暑い中を歩いて出勤してきた清貴は、汗まぎれになってシャツまで濡れている。
職員室に入るなり冷房の風が、清貴の体を冷やして気持ち良くさせる。

「おはようございます」
先に出勤していた永岡が挨拶をした。

「おはようございます」
清貴も挨拶をして机に座った。
清貴と永岡の机は隣合わせにある。

「あの・・・長嶋先生」
永岡が清貴の方をじっと見て、何か言いにくそうな感じで尋ねてきた。

「どうかしました? 」
清貴が永岡の態度を見て、不思議そうに尋ねた。

「実は・・・」
再び、永岡が話そうとすると、
「長嶋先生」
上田が職員室に入ってくるなり、清貴の席まで近寄ってきた。

「おはようございます」
清貴が上田に挨拶をした。

「おはようございます。永岡先生、長嶋先生にお話しましたか ? 」
上田は二人に挨拶をした後、永岡に問いかけた。 

「今、話そうとしていたところです」

「そうですか。では、私からお話しましょう。実は、永岡先生のクラスの父兄との面談、長嶋先生も立ち会ってもらえませんか? 」

「えっ! 自分が・・・? 」

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