分校物語 ~夏~
一番先に慎吾が、教科書をリック式のバックにしまい込んで帰り支度をする。
その後を続くように二人の生徒も帰り支度をした。

「あと一週間で夏休みだ。来週の水曜日は父兄との面談だから、父兄の方には、かならず学校に来てもらうように伝えて下さい。いいですか? 」

「はい!! 」
慎吾以外の二人の生徒が返事をした。

「慎吾・・・ 返事はどうした? 」

いっもは元気で返事をする慎吾が、その時ばかりは返事がなかった。
そのため清貴は気になって尋ねた。

「はい・・・」
慎吾が小さく返事をした。

「よし、それじゃ帰りの挨拶」

「姿勢、起立、礼」
紀香が号令をかけたと同時に、
「先生さようなら! 」
三人の生徒がいっせいに挨拶した。

「はい、さようなら! 」
清貴も元気に挨拶をした。

紀香と吾朗が、元気に清貴の前を走り去って行った。
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