やきもち王子 2
その時、教室の開けっ放しにされていた
ドアから誰かが入ってきた。
派手な明るい茶髪の髪、
ゆるりとボタンを開けてだらしなく
ネクタイを結んで薄い鞄を持つその男の人を
わたしは見たことがなかった。
だれ…?
うちのクラスの人じゃないよね?
いかにも怖そう………
だけどこの人、すごく整った顔してる…
クラスを見まわすと皆がその人に
視線を奪われていた。
そして男の人はキョロキョロと
教室をみわたして、少し眉をよせた。
あ、この人もしかして……
直感だけど、でも多分そうだと思う。
「南野くん…だよね?」
遠慮がちに言ったあたしの声に
彼は振り向いた。
「………ウン。」
やっぱり。