やきもち王子 2
そのまま引っ張られて、
中庭のすぐ近くの死角になっているところで秀がやっと動きを止めて振り返った。
だけどその表情は険しいままで……
意味わかんない、よ
なんで秀が怒ってるの?
怒るのはあたしの方じゃないの?
「なにやってんの?」
眉をよせた秀の不機嫌な声に身体がびくっ反応する。
明らかに責めるような視線と声―――
「あいつ誰?」
不機嫌な、拗ねたような声は聞いたことがあってもこんな風な視線を向けられるのは初めてで、
身体も、頭の回転まで止まってしまった。
黙ったままのわたしにさらに秀は顔を歪めた。
「なんで答えないの?
――それとも、答えられない?」
「!!ちがっ……!」
否定しようとして、絡まった視線に再びわたしの思考は停止する。
責めるような険しい瞳の中に、傷ついたように揺れるのが見えた気がしたから。